本校では、毎年全学年を対象とした「平和学習」を定期的に実施しております。
今回は、本校の1学年全体で被爆者の方をお招きして、広島における原爆の惨禍について学びました。
今年は、日本がアメリカを中心とした連合国軍に敗れて70年の節目となりました。日本に住む人の多くが、かつてあった大きな戦争のことを知りません。世界全体で国際関係が不安定となり、止むを得ず戦争に走ってしまった経緯が、この国には事実としてあったのです。そして私たちの住む広島は、原子爆弾投下という形で、戦争の犠牲者となりました。
私たちは、当時の状況を知ることなく「平和は大切だ!」・「戦争をしないことが平和なことだ!」と安直に平和を語る傾向にあります。確かに平和は大切なことです。そして戦争は人間の行為として絶対にしてはいけないことです。それにも関わらず、今も世界の至る所で、戦争を止めることはありません。なぜ人は戦争に手を染めてしまうのでしょうか。
「私たちは何も知らされていなかった。ただ、欧米が悪い。私たちが正しい。この戦争は正義の戦いなんだ。ではなぜ、欧米が悪いのか。どうしてローズヴェルトやチャーチルが悪いのか。そしてどこにこの戦争が正しい戦いという根拠があるのか…」
何も知らないということ…被爆者の方が、言われていた一言に人が戦争に走ってしまう原因があったように思えます。
戦争がいけないこと、平和が大切だということは、戦争当時の人も当然知っていたことです。それでも絶対悪ともいえる戦争に当時の人々が参加してしまった…。当時の現状を知ることが、未来を見据える学びになると、生徒たちが理解できればと思います。
さて、戦後70年となり、戦争を知る方々の多くは高齢となってしまいました。今回の講演でも、体に鞭打って次世代を担う子どもたちのためと参加された方がほとんどです。
私たちがこれからやらなければならない取り組みとして、「戦争体験を風化させないこと」つまり、若い人たちが戦争経験者の思いを受け継ぎ、次の世代に語り継ぐ活動をしていくべきだと思います。
本校の平和教育も転換期に差し掛かっております。発展した平和教育にしていくためにも今後も検討を重ねていきたいと思います。